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【告知】読むCafeにて掲載していただきました

読むカフェにて拙文を掲載していただきました。 【書評】早川タダノリ/『「日本スゴイ」のディストピア』 | 幻冬舎ルネッサンス運営 読むCafe

【告知】読むCafeにて掲載していただきました

読むCafeにて拙文を掲載していただきました。 【書評】フェルディナント・フォン・シーラッハ短篇小説「チェロ」 | 幻冬舎ルネッサンス運営 読むCafe

【エッセイ】コズエちゃんの思い出

ロラン・バルトが「まなざし」について書いていた本を本棚から引っ張り出そうとしていたとき、ドアのチャイムが鳴った。昨日注文したAmazonからの配達だった。すぐに梱包を破ると、ロラン・バルトの『明るい部屋』が新品のまま、まるで私を責めるよう…

【告知】読むCafeにて掲載していただきました

読むCafeにて拙文を掲載していただきました。 映画『ソフィーの選択』について | 読むCafe

【エッセイ】釣りについて

釣りという行為には何かしら考えさせられるものがある。その行為は釣りをしない人々が一般的に抱くイメージとはかけ離れている。凡その釣りをしない人々がそれに抱くイメージは、照りつける太陽の下、老若男女が海を呆然と眺めながら、竿から釣り糸を垂らし…

【歌詞】The Vincents「朝が来るまで」へのアンサー・ソング

The Vincents - 朝が来るまで

【エッセイ】ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

今の実家がある新興住宅地に越してきたのは、確か、昭和天皇崩御の年で、元号が平成に変わった年だったはずだ。越してきた頃は、私の実家と畑を挟んだ隣の家しかなく、如何せん、人気のない淋しい山の斜面だから、田んぼや畑から響いてくる蛙や虫の音に満ち…

【映画】「シン・ゴジラ」〜初代「ゴジラ」へのオマージュとして

(C)2016 TOHO CO.,LTD. 【先の戦争と戦後の境としての初代「ゴジラ」】 庵野秀明監督の話題作「シン・ゴジラ」は、はっきりいってしまえば、諦めの映画である。もっといえば、祭りのあとですらある。それは庵野監督自身が一番知っているに違いない。 庵野作…

【告知】Twitterで知ったノンフィクション賞創設について

2016年(平成28年)という年は、日本が戦後復興から再度経済成長を成し遂げ、高度経済成長時代を迎え、バブル経済期を経験した後、つまり、半世紀足らずでそれらを遂げた期間に日本人が自らに貼った伏線「45年以前より経済発展した俺ら日本人スゴイ」が回収…

【ストーリー】映画「ある優しき殺人者の記録」の一部分を書き換え

新婚旅行が韓国なんて、とわたしは気乗りのしないまま、それでも、凌太が初めての海外旅行である韓国の焼き肉を楽しみにしていることに配慮して、関西国際空港から二人で一緒に飛行機に乗った。問題が起これば韓国からなんてすぐに帰国できるし、何なら凌太…

【音楽】浜田省吾の左派性にみる80年代日本とアメリカ

浜田省吾は1952年に、広島県竹原市に生まれている。彼が自身の楽曲に政治色を出し始めたのはアルバム『Home Bound』からだが、所謂「政治の季節」からすると、浜田は年少派ということになるだろうか。政治的な活動としては、1971年にアメリ…

【エッセイ】2016年、参議院選挙投票日の憂鬱

参議院選挙の投票日にこんな文章を書くのもなんだか憂鬱だが、もっと憂鬱なのは、冒頭から夢も希望もないことを書かざるを得ないことだ。 今回の参議院選挙で与党、現政権が圧勝するのは誰もが知っている。そして、その圧勝するであろう現政権の内閣総理大臣…

【書評】早川タダノリ著 /「日本スゴイ」のディストピア――戦時下自画自賛の系譜

【嫌韓本と日本礼賛本の氾濫】 嫌韓や愛国心高揚を掲げた日本を自画自賛する新書等が、本屋の目立つ場所に平積みされ始めたのはいつ頃からだろうか。現政権を担う内閣総理大臣、安倍晋三首相が「美しい日本」、「一億総活躍社会」等、きな臭い言葉を使い始め…

【映画】Buffalo'66

【ユーモアからヒューモアへの転換】 映画「Buffalo'66」について、今更語るべきことは何もないように思える。それでもこの映画について何かを語るとするならば、少しだけ着眼点を変えなければならない。つまり、ありきたりな鑑賞の仕方ではなく、私はこの映…

【書評】フェルディナント・フォン・シーラッハ短篇集『犯罪』を読んで

事件においては誰もが犯人でありうる 数年前に話題になった、ドイツ人作家フェルディナント・フォン・シーラッハの処女短篇集『犯罪』を、一篇ずつゆっくりと読んだ。短篇集というのは、一度通読したものは別として、一息に読むのが難しい。それが、短篇の名…

【音楽】尾崎豊「卒業」にみる歌声の変遷

早熟さと時間の感覚、27クラブ 早熟な才能というのは、ときに、悲劇的な結末をその人に与えることがある。例えば、若くしてスターダムにのし上がったロック・スターたち。その中の幾人かは、生を駆け抜けながら若さを爆発させた後、全エネルギーを使い果たし…

【音楽】尾崎豊/永遠の胸

印象的なギターソロから始まる尾崎豊の「永遠の胸」は、1990年にリリースされた20代の尾崎豊の集大成ともいえる二枚組アルバム『BIRTH』に収められている楽曲である。7分47秒という楽曲の長さもさることながら、その雄大なメロディーラインと、少しの切実さ…

【音楽】中島みゆき/時刻表

中島みゆきの楽曲群の中に、ひっそりと佇んでいる名曲がある。「時刻表」という曲だ。中島みゆきの歌声もどこか淋しげではあるが、ありふれた人間像を歌いながら、自身もまたありふれた人間のようである歌い手の絶望的な淋しさが木霊するような曲である。サ…

【書評】「飛び降り」「幽霊」――『セックスの哀しみ』より/バリー・ユアグロー

はじめに 超短編の名手、バリー・ユアグローの著書に『セックスの哀しみ』という超短編集がある。セックスに纏わる人間の悲哀を、ときには直截的に、ときには隠喩的に、ユーモラスに描いてみせる、そんな超短編集だ。その本の中に、「飛び降り」と「幽霊」と…

【エッセー】真夜中のプールと青春と自由であること

村上龍の処女作、『限りなく透明に近いブルー』の中に、主人公である僕とリリーがラリった状態で、雷雨の中のトマト畑を這いつくばるシーンがある。二人はラリっているため、トマトを爆弾だと言い張ったり、トマト畑を海と錯覚したりする。このシーンは、ド…

【映画】イヌミチ

はじめに 2014年3月に公開された万田邦敏監督の映画「イヌミチ」は、セックスシーンのないロマンポルノという謳い文句のとおり、イヌと飼い主という主従関係を、サディストとマゾヒストの関係性に置き換えた、観念的なセックスをテーマとした映画である。た…

【即興詩】水平線のあっち側

水平線のあっち側に果てがあると信じていた頃、 僕の意識はまだ海とおなじで、波間をゆったりと泳ぎながら、 しきりに砂浜の両親を振り返る。 クロールであっち側の果てまで泳いでいけると、 僕の身体、意識、太陽、それら全部が海だった。 やがて、海の底に…

【映画】共謀者

はじめに 黒幕がごく自然な登場人物を演じながらも、最後にその正体を露わにして、それまでの過程を覆すという手法は、名作「ユージュアル・サスペクツ」を持ち出すまでもなく、サスペンス映画ではよくあることだ。さらに、アウトローな犯罪者が義理と人情に…

【エッセー】人生の黄昏において

人生の黄昏を知った人間は、名残惜しいような諦念と、覚悟の間で揺れ動く。生への名残惜しさとは、彼が人生において何を行為したか、何を獲得したか、つまり、彼の記憶に残存している何に未練があるかではなく、彼が何を行為できなかったか、何を獲得できな…

【映画】嘆きのピエタ

韓流ブームと韓国映画 2004年に日本で放映された韓国ドラマ「冬のソナタ」は絶大な人気を博し、その後の韓流ブームの発端となった。とりわけ、主演俳優のペ・ヨンジュンは、数多くの熱烈な女性ファンを日本各地に生みだし、「ヨン様ブーム」という社会現象に…

【エッセー】昭和の終焉までに

母方の祖母が他界したのは、確か、五年前だったと思う。亡くなるまでの入院期間が長すぎたため、その死はどこかあっけなく感じられた。実際、祖母の死に目に立ち会えたのは、親族のうち、ニ、三人だった。あの日のことを少しばかり思い出すと、私はちょうど…

【詩】ウシガエル君

幼少の頃、僕は友人たちが牛蛙の肛門に爆竹を挿入して点火するのを見ていた。誰かが点火した後、導火線を火が伝っていく。その時間は、僕の話し声が僕の耳に伝わる、マ、ほどにもどかしい。ようやく、牛蛙は破裂したけれど、僕はその瞬間を目撃し損なってい…

【書評】無頭の鷹――雨乞いの神の子たち

雨は降らないかな? ニューヨークの街角に店を出している花屋の屋台に群がる女の子たち、彼女らが空を仰いで雨を乞う場面が象徴しているように、トルーマン・カポーティの短編小説「無頭の鷹」は、都会を灰色に染める雨を巡る小説といっても過言ではない。雨…

【エッセー】死者の幻影と記憶

父方の祖父が他界したのは、確か、七年前だったと記憶している。 当時、私は神奈川県川崎市にある古臭いシェアハウスの四畳半の部屋に住み、渋谷にあるおっぱいパブのボーイをしていた。当然だが、求人雑誌にはおっぱいパブなどとは書かれておらず、私はてっ…

【詩】◯の音

遠くインドの広場では、シタールの風にあわせてタブラ奏者の手が機械へとその傍では恋人たちが踊り出し、彼の視線の先には恋焦がれる透明なあの娘の姿がタンタン、タタタタ、タンタン、タ◯タタタタタタ、タタッタ、タタ◯タ、タンタン◯はタブラ奏者の魔法の打…

【エッセー】長崎原爆の日、キリスト教のアンチノミー

私の故郷、山口県周南市(旧徳山市)では、8月6日の午前8時15分と8月9日の午前11時02分にサイレンが鳴り響く。これがいつ始まったのかは知らないし、他の市町村で同じようにサイレンが鳴り響くのかどうかも知らない。それでも、私はものごころついたときには…

【エッセー】真夏の熱さと閃光、そして老婆の思い出

路面電車から見える窓外を現代的な都市の風景が流れていく。私はふと流れているのは自分なのではないかと思案するが、もう一度考え直してみると、まったくそのとおりなのだった。たとえば、今、コンビニ前で煙草を吸っている男性がいる。彼は瞬く間に流れて…

【論考】安保法案、そして革命、《宏大な共生感》へ

《宏大な共生感》という希望のジレンマ 大江健三郎は1959年に刊行された小説、『われらの時代』の中で、《宏大な共生感》という言葉を多用している。それは、主人公の南靖男によってこのように述懐される 希望、それはわれわれ日本の若い青年にとって、抽象…

【エッセー】山口連続殺人放火事件に想うこと

2013年7月21日に起こった周南市金峰(みたけ)連続殺人放火事件、俗にいう、山口連続殺人放火事件の判決が、2015年7月29日に山口地裁で下った。結果からいうと、保見光成被告には死刑判決が下されたわけだが、それは、おそらく、多くの人が予想していたとお…

【論考】世間からの逃走、観光客、そして記憶

はじめに 正宗白鳥は明治41年に発表された代表作『何処へ』の小説内で、世間という言葉と、社会という言葉を併用している。明治10年に社会という言葉がSocietyの訳語として充てがわれて約30年経過した後にである。この一例だけで明治以来の作家たちの混乱を…

【映画】カニバル、ISIS処刑動画について

はじめに 映画「カニバル」はマヌエル・マルティン・クエンカ監督によって製作され、 2014年5月に日本で公開された。カニバリズム映画といえば、サイコパスによる猟奇的でグロテスクな映像、例えば、人肉を切り刻む、人体の内蔵の露出、多量の流血、等々を想…

【映画】パリ、テキサス

あらすじ 冒頭、赤いキャップに髭面の男が砂漠を歩いているシーンからこの映画は始まる。男の名前はトラヴィス。四年前には美しい妻ジェーンと息子ハンターを持つ父親だった。しかし、トラヴィスは妻と息子を捨て、失踪してしまう。妻のジェーンはハンターを…

【ショート・ショート】ミニチュアダックスフンド

私は近所のペットショップで一目惚れし、生涯のパートナーにすることを決めたミニチュアダックスフンドの雌を胸に抱きかかえて通路を歩いている。リリー、マンションへ帰ったらおやつが待っているよ、と顔中を撫で回しながら、エレベーターを上昇していく。…

【ショート・ショート】孤独な宇宙遊泳

新幹線が広島駅に到着する直前、私は異変に気づき、読んでいたN・コールダーの『アインシュタインの宇宙』を閉じる。私は東京行き上りの指定席、四号車の窓際に座り、車両の前方から中程までが順々に宙に浮かんでいくのを見ている。宙に浮いた車両は右側にく…

【ショート・ショート】色彩のない世界で

私は透明になったような心地で、古ぼけた飲食店の白いテラスにひとり座っている。通りを行き交う雑多な人たちを眺めながら、遠くまで来たのだな、とひとり言をいう。青い道路標識の漢字表記や人々の話し声から、おそらく、ここは私の故郷ではないのだろう。…

【ショート・ショート】メリーゴーランド

私は丘の上にある緑の草原に寝転んでいる。ときどき、空色を真似た青い風が、緑の匂いをたっぷりと私の鼻孔に届けてくれる。その匂いをすうっと嗅ぐたびに、浅い眠りに誘われたような白昼夢が、まるで青草を反芻する草食動物たちのように、私に届けられる。…

【ショート・ショート】カプチーノの苦味

ビルの二階にあるカフェ店内の窓から見上げる灰色の空は、今にも雨が降り出しそうな予感を漂わせている。ランチタイムを外れているため、店内には私ひとりしかいない。アンティークな家具を出鱈目に並べながらも、不思議な統一感で優しい雰囲気を醸し出して…

【書評】前川麻子/パレット

前川麻子という作家は不思議な作家だ。人類が誕生して以来、多くの人間が考え続けてきた男女関係という摩訶不思議な関係を、時には淫靡な、時には淡々とした官能小説という形で私たちに提示する。その官能小説群は驚くほど淫らだが、単純にポルノとして読む…

【エッセー】私がいなくなった後の世界で

私たちが生きている世界は常に誰かがいなくなった後の世界である。最も多くの人間が死んだ戦争、第二次世界大戦では全世界で民間人を含めた8500万の人々が死んだという統計がある。そして、今この瞬間にも世界のどこかでは様々な理由、複雑で、理不尽で、暴…

【エッセー】トルーマン・カポーティ「無頭の鷹」を読んで

トルーマン・カポーティーといえば『冷血』や『ティファニーで朝食を』などの小説が有名だろうか。もしくは、アラバマを舞台にほのぼのとした日常を綴った小説群を好む読者も多いかもしれない。しかし、私は彼のデビュー作である短編小説「ミリアム」を始め…

【エッセー】思い出は優し

例えば、今現在を剥ぎ取られた男とはどういう存在だろう。過去しかない男。当然、彼がすがりつけるのは記憶だけだ。記憶を思い出と言い換えてもいい。彼にとって思い出は常に優しい。思い出だけが常に優しい。そして、これはアンチノミーになるが、今現在を…

【エッセー】街路樹

四時間も待たされた後だった。もちろん、明子からはそれまでに次々と遅刻を知らせるメールは受け取っていた。でも、僕はそんな理由なんて信じていなく、最後の方はメールすら確認しなかった。僕はさっきまで見ていた昨夜の夢の続きから醒め、街中を見回した…

【エッセー】最後のキス

山下公園の近くにアマゾンクラブというレストランがあった。ゼロ年代前半の頃だ。今あるのかは知らない。そこは倉庫のような造りになっており、一見さんはなかなか見つけることができない店だった。その内部にも様々な仕掛けがあり、初めて訪れる人はまるで…

【エッセー】躊躇と「介護入門」

昔、風俗の店員をやっていた頃、姉妹店にのりこという源氏名の女がいた。多くの風俗店は新人の女の子が入るとすぐに辞めさせないために姉妹店の男性従業員をこっそり客として出向かせることがある。私はのりこが姉妹店に入店したときにすぐさまその店に本指…

【エッセー】死について

まずはじめに、無があった。と書くと語弊がある。無を存在させてしまうからだ。ビックバンは無から生じたのではない。無さえ存在しないところへ生じたのだ。それ以前に何があったのかは定かではない。ビックバン時のそのエネルギーは膨張し続け、現在に至る…