【音楽】中島みゆき - 断崖~親愛なる者へ 01

 

中島みゆきの「断崖-親愛なる者へ」のサビの部分に

そうさ 死んでも春の服を着るよ

そうさ 寒いとみんな逃げてしまうものね

という箇所がある。

これを普通に読めば、寒いとみんなが逃げてしまうから暖かい春の服を着る、となる。しかし別の読み方をしてみると、みんなが逃げてしまおうが冬の寒さの中でも春の服を着続ける、という少々ひねくれた人間の像が浮かび上がってくる。私はこの曲を初めて聴いたとき、素で後者のように歌詞を解釈し、なんとイロニーの効いた歌詞だろうと感心したものだ。しかし後になって考えれば考える程、前者の解釈が妥当に思えてきて、自分の解釈自体がひねくれていたのではと考えるようになった。

音楽の歌詞をどう解釈するかはその人の感性に委ねられているが、この曲のようにふたとおりの解釈をさせてくれる歌詞というのは実はそう多くない。解釈のさせ方が多ければ多いほど良質で、自由度の高い歌詞だと私は思っている。そういう意味において、中島みゆきの「断崖-親愛なる者へ」は自由度の高い歌詞を持ち合わせた良質な曲である。