【詩】とある路上にて
夜明け前の鈍い意識をもってして
光と影が織り成す不調和に魅せられて
いつまでも見ていても仕方がないから
路上に眠り込んでる女を起こしてやったんだ
ゆすってもゆすっても 女はうんともすんとも言わない
深い眠りなんだろうさ そこが女の棲家ででもあるかのように
ほら、まともさを装った連中が通りを歩き始めている
俺はそいつらに反吐を撒いた後で尻を突き出してやった
連中ったら驚いて顔をそむけてやがる
可笑しいったらないから女を起こして話そうとしたんだ
ゆすってもゆすっても 女はうんともすんとも言わない
深い眠りなんだろうさ そこが女の棲家ででもあるかのように
薄汚い壁に背をもたせかけて微睡んでいたんだ
いつの間にか太陽が昇っていた 光の支配の眩しさが
ふいに世界が溶け始めているのに俺は気付く
一刻も速くここを去らなければ
さもなければ俺も女も溶けちまう
娼婦よ、起きる時間だ、もうおまえの時間は終わった
娼婦よ、さあ起きてくれ、こんな場所にいちゃ気が違っちまう
娼婦よ、さてどこへ行こうか
俺たちがどこから来たのか憶えてるかい?