2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】異人娼館の怪異/檀原照和

檀原照和氏の少々面白可笑しく、そして、少々妖しいこのノンフィクションを読んで、まず私が思い浮かべたのは、2005年に行われた通称「バイバイ作戦」、つまり、あの黄金町ちょんの間一掃の様子である。当時の私は黄金町に程近い若葉町という少々危ない場所…

【エッセー】ポーの詩集を日本語で読む中国人女性

伊勢佐木町の隣の通りにある若葉町という町に住んでいた頃、友人の中国人女性である海晴がマッサージ店の呼び込みの仕事をしていたから、私は深夜によく長者町の通りのガードレールに座ってポーの詩集を読んでいた。詩集を読むのに飽きると、手持ち無沙汰に…

【エッセー】タクシードライバー

伊勢佐木町でぶらぶらと遊んで暮らしていた頃、桜木町にあった飲み屋によく通った。伊勢佐木町から桜木町までは歩いて数分の距離であり、散歩にはうってつけなのだが、その頃の私は馬鹿みたいにタクシーを利用していて、また、タクシーに乗るのが好きだった…

【ノート】幻聴のこと

以前書いたふたつの雑記をまとめました。 幻聴は内的発話の変形であるから他者に伝達することができない。普通、内的発話においては「~と自分は思った」となるのが、幻聴においては「~が~と言った」となる。そうなると、他者に伝達するためには「~が」の…