2013-01-01から1年間の記事一覧

【詩】とある路上にて

夜明け前の鈍い意識をもってして 光と影が織り成す不調和に魅せられて いつまでも見ていても仕方がないから 路上に眠り込んでる女を起こしてやったんだ ゆすってもゆすっても 女はうんともすんとも言わない 深い眠りなんだろうさ そこが女の棲家ででもあるか…

【詩】カタストロフ

ビルとビルとの間で切り取られたような 一瞬を切り取った写真のような人間が識別できる範囲において青の入り混じった黒い空が告げるのは、ほら、方々に散り始め各々の偽りの姿へと帰っていく街娼たちのあの夜の中においてのみ輝くことのできる不思議な秘密の…

【音楽】中島みゆき - 断崖~親愛なる者へ 01

中島みゆきの「断崖-親愛なる者へ」のサビの部分に そうさ 死んでも春の服を着るよ そうさ 寒いとみんな逃げてしまうものね という箇所がある。

【雑記】伊勢佐木町のこと01

僕は引っ越しばかりしていた人間で、これまで関東地方においてあちこちに住んできたものだけど、もう一度住みたい街は何処かと問われると、即答で伊勢佐木町となる。伊勢佐木町という街に魅せられた人間は多いと思うが、僕は伊勢佐木町の人種的混沌に魅せら…

【ノート】逃走=闘争論(仮名)のための草稿、ノート03

記憶という呪縛から解き放たれることなどあるのだろうか。病に陥ることなく、また、麻薬による一時的な健忘を利用するのでもなく。睡眠はダメだ。睡眠は夢という形で、しかも一方的に、自分に記憶を提示する。今この自分を司っているのは明らかに過去の過程…

【雑記】3.11のこと

東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故が起こって以来、ずっと思い続けているのは、日本という国は面積的に大きな国だったんだなということ。僕は3.11を西日本の最西端で「経験」したのだけど、不謹慎を覚悟でいえば、それは外国で起きた災害と大差がな…

【雑記】幻聴のこと02

幻聴においては「至る所に私」がいる。他者に伝達不可能な、様々な内的発話、それらすべてが「至る所の私」である。精神科医はそれら多数の内的発話を、「至る所の私」を、「私」という人工的なひとつの分裂症患者に仕立て上げる。ドゥルーズが『アンチ・オ…

【雑記】幻聴のこと01

幻聴は内的発話の変形であるから他者に伝達することができない。普通、内的発話においては「~と自分は思った」となるのが、幻聴においては「~が~と言った」となる。そうなると、他者に伝達するためには「~が」の部分の担保が必要となる。内的発話におけ…

【エッセー】恋愛感情のこと

一般的に、男は気に入った女性が身近にいるとなんとか手段を尽くして自分に好意を持ってもらおうとする。これが上手くいくと、いわゆる恋人同士ということになるわけだが、人と人との関係というのはそれほど単純ではないから、大抵の場合、男のアプローチは…

【エッセイ】酔っぱらいの朝にて

ブラックニッカの小瓶に直に口をつけて一人ちびちびとやっていたらこんな時間になってしまった。ヘッドフォンを耳にあてて「Led Zeppelin Ⅱ」をオートリピートで聴いていた。ずっと聴いていた。ジミー・ペイジのギターは人をアホにする。あれは麻薬だ。終わ…

【エッセー】広島のこと

広島の夏は暑い。京都のような盆地の暑さではないが、市街地が海に面していないので独特の暑さがあるのだ。高校を中退した後、山陽本線の列車に乗って広島までよく一人で行ったものだ。何をするともなく、ただひたすら広島の街を歩き回った。歩くのに疲れる…

【エッセー】中国人の女

もう随分前の話になるが、その夜、十年来の友人である中国人女性が経営するパブに招かれて、長居し、ウィスキーのボトルを一本空けた。店は恐らく前身のキャバクラを改装したのであろう、煌びやか過ぎず、暗澹過ぎず、日本によくあるタイプの安価なパブとい…

【ノート】逃走=闘争論(仮名)のための草稿、ノート02

この我々の宇宙が仮に無限だとする。つまり、ビックバン時のエネルギーが無限に時空(時間と空間)を押し広げていき(膨張)、永遠に縮小しないイメージ。もちろん、無限をイメージすることなど不可能である。よって、この我々の宇宙が無限である可能性を一…

【ノート】逃走=闘争論(仮名)のための草稿、ノート01

あるひとつの場所に馴染むと、その途端、その場所が窮屈で嫌になってしまう。この傾向はもう中学生くらいの昔から自覚があり、これまでの人生において、私はさまざまな場所、あるいは、関係性から逃げてきた。それは、あるときには学校組織であったし、ある…

【音楽】アン・ルイス - グッド・バイ・マイ・ラブ

アン・ルイス グッド・バイ・マイ・ラブ - YouTube 「グッバイ・マイ・ラブ」は前川麻子さん主演の「愛のゆくえ(仮)」を観に行った際(初めて前川麻子さんともお会いした)、本当に失礼ながら居眠りしながらもおぼろげに憶えているカットで流れていた曲。…

【エッセイ】季節はずれの雪から

三月も下旬を迎えていたその日、とある書類をプリントアウトするため立ち寄ったネットカフェを出ると、季節はずれの雪が舞っていた。思わぬハプニングに私は驚き、咄嗟に空を見上げた。横浜駅西口界隈の賑やかなネオンに映えた白い粉雪は、音を立てず、しか…