2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

【エッセイ】中年男の淋しさ、エイジズムについて

いつ頃からだろうか。もう随分、長い間、中年男の淋しさということが、繰り返しあらゆる場所で語られている。もちろん、中年男といっても、三十代から六十代くらいの初老まで幅広いのではあるが、ここでは、定年退職した初老に近い六十代に焦点を当ててみよ…

【書評】吉田修一/悪人

この小説を普通に読めば、善と悪との二項対立の結果としての善悪の不在、とでもいったものに帰結してしまうだろう。そのような小説は近代以降既にありふれたものとなっており、読者をそこに駆り立てる技術の巧拙、つまり、アミューズメントとでもいったよう…